2012年2月10日金曜日

ある日突然始めて、ずっと続けていく

あず(1)あれは、私が小学校5年生の頃だったか。ある日突然、私は「絵の教室に行きたい!」と言い出した。近くで絵画を教えている先生がいたのである。その週から通い始めて、結局大学生までずっと、週一回その教室に行って油絵を描いていた。今でも、なぜ始めたのかわからない。

あず(2)ただ、その日の、胸の中にもやもやとした気持ちはよく覚えていて、とにかく絵の教室に行こうと思った。美大を受けようとしていたわけでも、何か成算があったわけでもないし、ただ、絵を描いてみたいと思ったのである。それが、まさか10年以上続くとは思わなかった。

あず(3)私のアート好きは、どうもその頃に兆していて、後に東京芸大で教えたときに初めて「ああ、そうか」と思ったのだけれども、今ではアートは一つの大切な仕事の分野になっている。わけもわからず油絵を描いていた時代がなつかしい。芸大の教え子たちには、絶対に作品見せないけど。

あす(4)小学校に上がる前に蝶の採集を始めたときも、32歳でクオリアの問題に目覚めたときも、昨年、長い距離を歩き始めたときも、ある日突然始まるのであって、その時に別に理由や計画や目算があるわけではない。ただ、自分の内側の「波」のようなものに、ひょいと乗る感じなのである。

あす(5)つまり、人生とは波乗りのようなものではないかと思う。自分の無意識のうちにどんな波があるのか、いつも測っている。そして、これは大きな波だ、と思ったら、ひょいと乗ってしまう。波はすぐに消えてしまうものもあるけれども、遠くまで運んでいってくれるものもある。

あず(6)ある日突然初めて、消えてしまうこともある。私の人生でも、忘れていて、やりかけたことはたくさんあるはずだ。しかし、ある波が続くものか、勢いがあるかどうかは、とりあえず乗ってみないとわからない。一番もったいないのは、波が足下を浸しているのに、呆然と佇んでいることであろう。

あず(7)ツイッターでこの「連続ツイート」を始めたときも、何も考えていなくて、一瞬の思いつきだった。ただ、その時、「ふわっ」と身体が浮上する感じだったことは覚えている。今日、この連続ツイートは500回を迎えたが、まさかこんなに長くやるとは思わなかった。

あず(8)ある日突然始めて、ずっと続けていく。どうやら、人生を変えるための方程式は、そこにあるようだ。いつ、何が始まるのか、それは意識には把握できない。無意識のうちで、他の人や世界とつながりつつ、ある日足元をひたひたと浸す波が準備されている。

あず(9)クオリアの問題に遭遇したのは1994年の二月だったから、そろそろ18年になる。私の性格からして、決して諦めないで考え続けるのではないかと思う。ある日突然始めて、ずっと続けていく。この連続ツイートもまた、そんな波乗り人生の一つのかたちになりそうだ。