2011年8月4日木曜日

「男の子パワー」についての連続ツイート

おぱ(1)幼稚園のとき、なかま二人とふざけて遊んでいた。そうしたら、一人が、ぷっと笑ったその拍子に、鼻水がうわーって出て、もう一人の服にかかった。きたねーとみんなで逃げた。鼻水が出たやつも、笑いながら追いかけてきた。恐るべし、男の子パワー。

おぱ(2)小学校2年の時、何でも575で俳句を作るのがはやった。冬だった。お腹が空いていた。くるすが、遠くを見るような眼をした後で、ぽつりと、「いもくって、おならでるでる ぱんつやぶける ばかぢから」と言った。すげー、天才! と思った。恐るべし、男の子パワー。

おぱ(3)だいたい、女の子は、同じ年頃の男の子を、幼いと感じるものである。男の子たちは、女の子たちの落ち着きや静かさにあこがれつつも、ついついアホなことをやってしまう。下らないギャグに笑う。エネルギーを発散させること自体が生き甲斐。おそるべし、男の子パワー。

おぱ(4)缶蹴りもひどかった。シャツを代えてしまって、ものかげから出して、「間違えた、間違えた!」と出ていく。5人くらいで一斉に走っていって、缶を踏む暇がない。イモムシみたいにつながって出ていって、「顔みえないとダメだよ」などという。恐るべし、男の子ぱわー。

おぱ(5)意味がわからない、男の子パワー。友達の家で、枝豆が出る。ものすごくうまい。仲間に負けまいと、両手で食べる。カニさんのように、出しては食べ、出しては食べ。「オレ、食べる機械になった!」食べる機械と食べる機械が競争する。おそるべし、男の子パワー。

おぱ(6)男の子パワーのポイントは、まだ異性を意識したふるまいがあまりないということと、勉強や仕事といった、後の社会的計算もないということである。ただ、意味もなく生命力が弾けている。なんの利益にもつながらない。しかし、だからこそ、今、この時が輝いている。

おぱ(7)ベーゴマやメンコに夢中になった時代もあった。けずったり、ささくれを立てたりしていろいろ工夫して、ムキになって競争した。負けることが本当に悔しくて、勝つと天にも昇る気持ちがした。戦争や経済とまったく関係のない、無性で尽きることのない男の子パワー。

おぱ(8)大人になっても、少しは男の子パワーが残っている。芸大の杉原は、好きな女が下宿の前を通りかかって、おりゃあと飛び降りて骨折した。キャンパスに松葉杖をついて現れた。どうしたの、杉ちゃん、バカだねえ、杉ちゃん。みんな笑って、それでも男の子パワーに感動している。

おば(9)どうやら、私たちは男の子パワーをもう少し必要としているらしい。ポイントは、合目的ではないこと。無防備なこと。エネルギーを、とにかく発散させること。熱狂があること。仲間との友情があること。友情、努力、勝利。そうか、少年ジャンプは男の子パワーだったのか!

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。