2011年8月12日金曜日

「ネット・アスリート」についての連続ツイート

ねあ(1)インターネットが本格的に登場して10年程度。ますます加速している。そして、この新しいメディアは、従来とはまったく違う課題を、私たちに突きつけている。すなわち、いかに「ネット・アスリート」になれるかということである。

ねあ(2)ネットに向き合った時の脳活動は、本来、選択肢の限られているテレビとは全く違う。テレビは映画館に近い。ゆったりと座って、「ゆだねる」喜び。ネットは、能動的に選択しなければならない。そして、可能性は、無限大である。私たちは無限に向き合っているのだ。

ねあ(3)もちろん、ネットの中でも居心地のよい狭い場所にたむろすることもできる。友人のつぶやきを見たり、知り合いのブログを読んだり、自分の趣味の情報を集めたり。しかし、本来は、ネットはものすごいスピードであらゆる情報に出会い、結びつける可能性を持っているのだ。

ねあ(4)SNS関連業界の最新動向を知ることもできる。量子力学の基礎を学ぶこともできる。論文をダウンロードしたり、TEDのtalkを聴いたり、大学のopen course wareを見ることもできる。ネット上の一分をどう使うか。ネット・アスリートは飛翔する!

ねあ(5)私たちは大抵、ネットが本来持っている可能性のほんの少しだけしか使っていない。自分の想像力、連想力が限界を画す。つまり、ネットに向き合っている一分は、いかにこれまでの自分から解放されるか、という試練の場でもある。ひろげよ。横に歩め。つながれ。

ねあ(6)インターネット上では、自分の良く知った狭い世界で居心地よく過ごす人から、今日の世界のさまざまな事象に出会い、学ぶ人まで、ダイナミック・レンジの大きい人口が同居している。その点が、テレビや新聞などの従来の「ゆだねる」メディアとは根本的に異なる。

ねあ(7)ニュージーランドの心理学者、ジェームズ・フリンは、平均知能指数が上昇し続けているという「フリン効果」を見いだした。情報環境の変化が大きな要因と推測される。ネットにどう向き合うかで、一般知能の発達が大きく左右されるだろう。ネットは、学習意欲の鏡である。

ねあ(8)ネットの素晴らしいところは、それをうまく使えば、大学に行く必要はもはやないということ。むしろ、大学の「ゆるい」「ゆだねる」カリキュラムよりも有益な時間を過ごせるかもしれない。しかし、同時に、果てしなく怠け、だらけることもできるのだけれども。

ねあ(9)ネットには、堕落する自由もある。一方で、自分の知性を鍛え、筋肉質にする自由もある。こんな自由を人類が手にしたことはかつてなかった。「ネットは自由にする。」その自由の空気の中で、たくさんのネット・アスリートが誕生し、飛翔を始めている。そして、あなたは。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。