2011年8月26日金曜日

筋肉混乱(まっする・こんふーじょん、muscle confusion)理論についての連続ツイート

まこ(1)作家の椎名誠さんに似ているとときどき言われる。ある時、道を歩いていたら、通りすがりのおじさんがいきなり「あんた、椎名誠によく似ているね〜!」。そのあとおじさん、「もっとも、あんたはちょっと肥えとるけど。」一言余計なんだよ、おじさん! (TT)。

まこ(2)その椎名誠さんに、「男は一日一回床と勝負しろ」と教わった。腕立て、腹筋、スクワット各200回ずつ。夜やるのだという。酔っぱらって帰っても、必ずやるのだという。「歯を磨くようなもんだよ。」と椎名さん。椎名さんはそれを十代からやっているから、あの身体になる。

まこ(3)椎名誠の「男は床と勝負しろ」の教えに従って、何度も始めては挫折した腕立て腹筋スクワット。ところが、ある時思い立って、何と100日以上続いたことがある。いつも筋肉痛で、そうじゃないとものたりない気がして、なかなかオレもやるじゃないか、ふふふと思っていた。

まこ(4)私の怒濤の腕立て腹筋スクワット連続勝負を挫折させたのは、ある「理論」だった。muscle confusion理論。読んでしまったのだ。同じ運動を繰り返すよりも、負荷やモードを変えて、筋肉を混乱させるのがいい。私はなるほどと思って、連続腕立てをやめた。

まこ(5)結局、筋肉混乱理論は、私が連続腕立てをやめる口実になっただけだった。翌日から、筋肉は混乱するどころか、すっかり休んだ。元の木阿弥。でも、筋肉混乱理論自体は面白いな、と思って、時々思いだしたように自分の筋肉が予想できないような運動を自分に課している。

まこ(6)同じことの繰り返しではなく、混乱が起きるくらいの複雑さがいいのは、筋肉も脳も同じことだと思う。知性の本質は、混乱を抜け出て強靱になることである。つまり、筋肉混乱理論は、知性の向上にも応用できそうだ。

まこ(7)今日のコンピュータの理論的基礎を築いたアラン・チューリングは、ある時、教授の話にみんなが肯いているのに、一人だけ当惑していたという。He looked puzzled。私の好きなエピソード。知性は、混乱して 始めて鍛えることができる。混乱は一つの才能。

まこ(8)人間は繰り返しや予想可能を心地よいと思いがちだが、それは堕落への道筋でもある。筋肉や脳も、時には混乱させてやるのがいい。負荷×混乱の方程式。わかってはいるけれども、ついつい身体については怠けてしまうのだよ。筋肉混乱理論を怠けの言い訳につかってはいかん。

まこ(9)私が、「床との勝負」を筋肉混乱理論で止めてしまったのは、「勉強がすべてではない」という理論で子どもが勉強を止めてしまうのにどこか似ている。椎名誠さんは、浮き球ベースボールで筋肉を混乱させている。筋肉も頭も混乱するような、そんな現場を持つのが大切だね。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。