2011年10月11日火曜日

「狂っているという言葉が、ほめ言葉になるような、そんな世界が素晴らしい」ことについての連続ツイート

くほ(1)イギリスに留学中、たまたま手にした一冊の本。それが、Steven LevyのInsanely Greatだった。Steve Jobsと仲間たちが、Macintoshをどのようにして作ったかという話。この一冊で、ぼくのコンピュータに関する概念が変わった。

くほ(2)Insanely Great(狂っているほど凄い)というのは、 Macintosh開発中に、ジョブズ氏が口癖のように言っていたこと。少々良い、というのではない。ワーって狂っているほど凄い、そんなものを作ろうぜ とジョブズ氏は周囲にハッパをかけていたのである。

くほ(3)天才と狂気は紙一重である。なぜなら、創造とは、つまりは脳の動的バランスを崩しつつ運動する行為であるから。既成観念を踏み破るということは、「ルール」や「正解」を無視するということ。常識人から見れば、「狂っている」ということになりかねない。

くほ(4)ライト兄弟が初飛行に成功する数年前、ある物理学者は、人力飛行が不可能であることを「証明」する論文を書いたという。実際に飛んでも、誰も信じず、しばらくして「本当に飛んでいるらしい」という噂が広がって、ようやく地元紙が記事にした。

くほ(5)ファラデーは、電磁気の実験をしている時に、見学者の貴族に、「おもしろいね。でも、これが何の役に立つのかね?」と言われた。今の家電製品の全盛を見たら貴族は何と言うだろう。ヴィジョナリーは、常識から見れば、狂っているように見えるものである。

くほ(6)That's insane! お前、それ、狂っているよ。それがほめ言葉になるような社会、ないしはコミュニティ。創造性を育むのは、そんな環境。常識から外れるとバッシングされたり、冷たい目で見られるような環境では、なかな天才の芽は育たない。

くほ(7)ジョブズ氏が、Macintoshを仲間たちと作っていた、その現場に身を置いてみよう。美しいフォントがのり、GUIで直観的な操作が可能 で、コンピュータが喋り、文字と図形が一つにつながるような、そんなコンピュータ。「狂っているほど凄い」、未来のコンピュータ。

くほ(8)「狂っているほど凄い」ものだけが、世界を変えてきた。これからも、「狂っているほど凄い」ものが、私たちの世界を変えていくだろう。常識人か ら、「お前は狂っている」と言われることは、一つの勲章だ。自分の中に揺るぎないロジックがあれば、気にすることなどない。

くほ(9)1984年。ジョブズ氏が、ついに完成したMacintoshを立ち上げる。画面に、Insanely Great! (狂っているほど凄い!)という文字が現れる。ヴィジョンが現実化した瞬間。その時、すべての苦労は何百万倍の喜びとなって帰ってくる。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。