2011年10月29日土曜日

「センス・オブ・ワンダーを大切にしていれば、人は怪奇話に満足せずに、進んでいくものである。」ことについての連続ツイート

せす(1)このところ、「何月何日に人類が滅亡する」という類のネタが、ツイッターを賑わせていた。それで、ああ、なつかしいなと思った。小学校の時、何度も、「おい、今度の木曜日に、地球が終わるらしいぞ」という類のうわさが流れたことを思い出す。

せす(2)実は、「人類滅亡」の類の話が、大好きだった。自分の知っている世界と全く異なる何かが起こるような、そんな予感がしたからである。同じように、子どもの頃、UFOの話とか、謎の巨大生物の話とか、心霊写真の話とか、大好きで、関連図書を大量に読んだ。

せす(3)今でも覚えているのは、牧場の柵から少年が飛び降りたら、地面に着く前に消えていた、というような話を集めた本。海にいる不思議な怪物とか。大好きで、背表紙がぼろぼろになるまで、繰り返し読んだように記憶している。

せす(4)今振り返ると、少年の私を魅了していたのは、「センス・オブ・ワンダー」だったのだろう。世界がどのように出来ているか、ということを知らない から、未知の可能性にわくわくする。UFOや、心霊写真や、地球滅亡の話は、日常にかかっているベールを、ほんの少し上げてくれた。

せす(5)迷信の類に眉をひそめる人がいるけれども、好奇心を持つことは健全だと思う。大切なのは、「センス・オブ・ワンダー」。センス・オブ・ワンダーを持っている人は、決して、そこに留まることはないから。

せす(6)そのうち、世界には、もっと深いセンス・オブ・ワンダーがあることに気づき、震撼する。たとえば、アインシュタインの相対性理論。そもそもの物理主義。自然現象が、精緻な数学的な形式で、記述されてしまうということ。時間が経過することの不思議。

せす(7)UFOや、心霊現象、海の怪物、人類滅亡といったことに最初は興味を持っても、「センス・オブ・ワンダー」に基準があれば、人は自然に別のとこ ろに行く。相対論や量子論、分子生物学、マンデルブロ集合の数学、連続体仮説。これらのセンス・オブ・ワンダーの方が、深いし、 良質だから。

せす(8)だから、陰謀史観や、人類が滅亡するという予言や、UFOや、心霊現象や、占いや、そういうものにこだわっているひとは、きっと、より大きなセ ンス・オブ・ワンダーを知らないか、あるいは、センス・オブ・ワンダー以外の何かを大切にしているのだろうと、私は考える。

せす(9)子どもの頃に、不思議な話に興味を持ったり、怪奇な物語に夢中になるのは、悪いことではない。センス・オブ・ワンダーの階段だから。今じゃあ、 牧場の柵から飛び降りた少年が消えるとはもちろん思っていないけど、そんな話を読んでわくわくしたことが、私を 育ててくれた。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。