2012年5月4日金曜日

組織は、邪魔をするな!

そじ(1)アメリカの大学の、オープンコースウェアは、便利である。よく、かけながら仕事をしている。先日も、MITのをかけながら作業をしていて、突然、おや。まてよ、何かがおかしいぞ、とおもった。それで、いろいろなことを考えはじめてまった。

そじ(2)なにがおかしいぞ、とおもったかと言えば、そのMITの授業が、つまらない、と言うか、ごく普通だったからである。自分が大学時代に、受けた授業とくらべても、別にたいしたことないし、ぼくの友人の、池上高志の熱力学の授業にもぐりこんだことあるけど、あっちのほうが、面白かった。

そじ(3)アメリカには、リチャード ファインマンという、驚くべき授業の達人がいて、ついつい、みんなファインマンみたいな授業をしているんじゃないかと思ってしまうけど、実際には、そんなことはない。MITと言えども、普通の教授はむしろ凡庸で、授業も、つまらん。あたりまえのことだよね。

そじ(4)それで、ぼくはいろいろ考えはじめてしまった。ぼくは、東京大学の悪口をいろいろ言っているけど、日本の大学が悪くなってほしいと思っているわけではない。ひとりひとりの能力を見ると、別に、MITも、東大も変わらないように思う。では、なぜ、組織全体としてみると、差がつくのか。

そじ(5)思うに、日本の組織は、個人の邪魔をするんだと思う。池上高志が先日ツイートしていたけれとも、やたらと報告書を書かせたり、会議があったりする。そういう時間が、大学の先生たちが、自由にものを考えたり、まとめたりする時間を、奪ってしまっているのだ。

そじ(6)アインシュタインなんかを見ていると、その独創性が育まれた条件は、要するに放っておかれた、ということに尽きるということがわかる。特許局の仕事は、器用だからすぐ終えて、あとは物理の計算とかをしていたらしい。放っておかれた時間に比例して、独創性は花を咲かせる。

そじ(7)湯川秀樹さん、朝永振一郎さんの生誕100年のシンポジウムで京都大学に行ったとき、面白いことがあった。当時の京大の学長さんが、京大が湯川さん、朝永さんにしてあげたことは、たったひとつ、放っておいて、邪魔をしなかったことですと。ぼくは、京大はすばらしいと思った。

そじ(8)大学の事務の人とか、文部科学省の人が、ついつい、余計な気を使ったり、心配して、先生たちに干渉したり、書類を書かせたりしたくなる気持ちは、わかる。事務屋、役人の本能のようなものでしょう。しかし、そこをぐっとこらえて、できれば邪魔をしないでほしい。

そじ(9)時間があるかたは、MITの、オープンコースウェアを一度見てみることをおすすめする。一人ひとりの先生の能力はさほど変わらないのに、なぜ、組織全体としては、大きな差がついてしまうのか。日本の組織は、きっと、至る所で個人の邪魔をしている。大学だけのことではない。