2012年5月17日木曜日

自分を守るために、道化になるということもあるよね

じど(1)過去は、育てることができる。自分が今までに経験していたことをふりかえると、「ああ、そうか」というメタ認知が生まれることがある。これから 書くことは、私の個人的な体験ではあるけれども、読者のみなさんにも同じような「種」があるのではないかと思い、参考までに記すのである。

じど(2)昨日、NHKの415スタジオで『ドラクロワ』の収録があった。小山さんやすどちんなど、『プロフェッショナル』のOBが参加している。フロアもさっちん。それで、終わったあと、すどちんが、「いやあ、茂木さん、よかったすよ。がんばってましたねえ」と言った。

じど(3)いろいろ笑わせたり、振ったりしていたことをすどちんは言ったのだと思う。ぼくに芸人っぽい資質があるとすれば、それは最近のことじゃなくて根 が深い。話は、中学校時代にまでさかのぼるのだ。中学の三年間は、一番苦しい時期だった。今思い出しても、過酷な日々だったと思う。

じど(4)小学校は勉強したり運動したり蝶を追いかけたり、「まっすぐ真剣」で良かったのが、中学になると大切な仲間たちがぐれ始めた。関根が体育館の裏 で煙草を吸い、紙や枯れ草に押しつけて火をつけていた。関根は、卒業したあと消防士になった。山崎は身体が大きくて番長だった。

じど(5)ぼくはなぜか成績が抜群で、ずっと学年1位だった。でも、仲間はソリコミで鞄はぺちゃんこ。あいつらの苦しさ、悔しさもよくわかって、ぼくは狭 間で絶壁の縁に立っているような気がした。成績で学校が振り分けられていく世の中というものを、感情の部分で受け入れられなかった。

じど(6)それで、ぼくは道化になった。いつも学校で一番の自分という存在を、笑ってやった。いろいろな権威や、ルールみたいなやつを笑ってやった。関根 や山崎は煙草やソリコミで抵抗していたんだろうけど、ぼくは、いつも冗談ばかり言って、結局あれは自分を守っていたんだと思う。

じど(7)高校に行ったらだいぶラクになって、その後、大学、社会人と中学のようなきつさはなかったけれども、テレビに出るようになった頃から、また苦し くなったな。世間は、人の気も知らないで、いろいろなことを言う。痛くもない腹を探られたり、ある時、ああ、中学の頃とそっくりだな、と思った。

じど(8)関根は、この前再会したけれども、消防局の「主幹」になっていたなあ。立派になって、胸にたくさんバッジみたいなのをつけて。おお、関根! っ て言って笑ったけど、中学の頃を思い出すと、万感の思い胸に迫るだよね。過去は、育てることができるんだよな。振り返って戻る度に。

じど(9)ぼくが、お笑いの人たちを好きなのは、苦しいから道化になる、という感覚がわかるからだと思う。苦しくて、人を攻撃する人もいるけど、笑いにし た方がみんなの命が充実する。ぼくに芸人根性のようなものがあるとしたら、その起源は中学のときなんだ、と気づいた時には、救われた気がしたね。