2012年1月6日金曜日

ネットの世界は下克上の戦国時代だけど、日本はカヤの外だね

ねに(1)時代の流れを空気のように感じていることは大切だと思う。一ヶ月ほど前だったか、Flipboard for iPadを手に入れて以来、ニュースをそれ経由で読むことが圧倒的に多くなった。指でめくる感覚が心地よいアプリで、良いニュースを動的にキュレーション してくれる。

ねに(2)FlipboardがキュレーションするTechのニュースを見ていると、ネットの世界は今がまさに戦国時代、群雄割拠で下克上の状況になって いるということがよくわかる。何しろ、得られる報酬は青天井。グーグルやフェイスブックの成功を見て、血をたぎらせている若ものの群れ。

ねに(3)スタートアップが、IPOまでにどれくらいの資金を得て、その結果どれくらいのリーターンがあって、平均どれくらいの利益になるか(確か 600%以上だったかな?)とか、アプリを探索するのが大変だから、その生態系の検索システムが求められているとか、いろいろな話題。

ねに(4)ネットの話題の面白いところは、それが潜在的にただちにグローバルな意味合いを持つことだろう。システムやアプリの世界に国境線はない。だか ら、ネットの上で、新しい帝国主義の時代が来ている。もっともプレイヤーは国家ではなく、自宅の二階にいる一人の若者かも知れぬ。

ねに(5)Flipboardは、Techの分野だけでなく、一般Newsのキュレーションも面白い。やや米国中心の傾向があるのは仕方がないこととし て、各地域のニュースも拾っていて、グローバルな関心事項(地球温暖化や、エネルギー問題など)にかかわることをチェックするのに便利。

ねに(6)ところで、世界には依然としてドメスティックな関心事項もあって、フランスに行ったときフランス人と話すと今年行われる大統領選についていろいろ言う。サルコジがどうの、ルペンの娘がどうのという。なるほど、と思うが、実はそんなに聞く方の力は入っていない。

ねに(7)それぞれの国内のニュースは大切だが、今日においては、よりグローバルな視点への注意の分配が求められる。そうでないと、現代をいきいきと生きることにはならない。ツイッターのトレンド語を見ていても、日本では依然として国内ニュースの比重が大きすぎるようだ。

ねに(8)日本から、世界規模のネット・ベンチャーが出にくい、という指摘があって久しい。もちろん、がんばっている挑戦者たちもいるから応援しているけれども、社会全体として、ドメスティックなことにばかり関心が向いているという状況も足を引っ張っているのではないか。

ねに(9)文明にはその時々の坩堝のようなものがある。今はネット。アメリカの若者たちが、世界を見据えて下克上の闘いに挑んでいるときに、日本の大学制 度とか、就職活動のこととかは、確かに国内問題としては大切だが、どうでもいいこと。逆にそんな感覚で国内制度を見直す必要があるのだろう。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。