2011年9月3日土曜日

「台風が来る前にわくわくする」ことについての連続ツイート

たわ(1)東京駅に向かいながら、この連続ツイートを書いている。台風が西日本に近づいているため、果たして新幹線が動いているかどうかわからない。乗っても、途中で止まるかもしれない。内田樹先生との生ラジオ、たどりつけるかどうかわからない。

たわ(2)台風は、時に大きな災害をもたらすことのある自然現象である。今回の台風が、被害をもたらさないことを願いたいと思う。そして、私が、無事、大阪に着いて内田樹先生と西靖アナウンサーのアナウンサーに会えることを、かみさまがいるならばお祈りしたい。

たわ(3)ところで、台風については子どもの頃から気付いていることがある。ニュースで近づいてきている、と聞くと、なぜかわくわくする。いよいよ来るのか、と軽い興奮状態になる。ほんとうは怖いもののはずなのに、楽しみにして身構えるのである。

たわ(4)台風が近づいて、自分がわくわくしている、ということを親や教師に悟られるのはまずい、と思うから言わないけど、どうやら仲間たちもそうらしい。そして、天気予報で、台風が弱まって、熱帯低気圧になったりすると、だらしないなと、ほっとする一方でがっかりする。

たわ(5)なぜ、私たちは台風が近づくとわくわくするのだろうか。それは一つの適応であると考えられる。何が起こるかわからないという「偶有性」に向き合い、柔軟に対応するためには、いたずらに怖がっていたり、不安を感じていてはならない。「フリーズ」しては、臨機応変に動けない。

たわ(6)台風はもちろん危険なものであるが、だからこそ、わくわくすることで、脳はその潜在能力を最大限に発揮できる。わくわくは、偶有性への適応戦略である。子どもの頃、「大型で強い台風」と聞いて胸がわくわくしていたのは、そんな理由があったのである。

たわ(7)戦国武将が自分が死ぬかもしれない合戦に向き合ったとき、もちろん不安や恐怖もあったろうが、それを上回る「わくわく」もあったろう。とりわけ、織田信長のようなすぐれた武将はわくわくしていただろう。わくわくは、明るい狂気であり、私たちはそれゆえに生きることができる。

たわ(8)どんな生き方をしていても、「どうなるかわからない」という偶有性は避けられない。安全に、確実に、と思っていても、その前提事態が崩れることがある。だから、むしろ、私たちはふりかえって、開き直って「どうなるかわからない」に立ち向かっていくべきなのだ。

たわ(9)台風はなるべく来ない方がいいが、日本には、今、グローバリズムという「台風」が来ている。大型で強く、「熱帯低気圧」には変わりそうもない。誰でも経験があるだろう、子どもの時の「台風が来る前にわくわくする」という心の働きを、大人になった今こそ思いだそう。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。