2011年9月14日水曜日

「クラウドとはこういうことである」ということについての連続ツイート

くこ(1)昨日、研究所の合宿で、大和田茂が「IT関連」と書かれたTシャツを着ていたから、というわけではないけど、今日はそっちの方に行こうと思う。アマゾンのeBookはすさまじく、まさに日本にとっては「雲の上」の存在になっている。そのことを書こうと思う。

くこ(2)Kindleの初代機を買ったとき、箱から開けたら、すでに自分のアカウントが登録されて、いきなりワンクリックでアマゾンストアに行けた。箱を開けて、一分後には最初の一冊を買っていた。それに、どういうわけか3G回線ですでにつながっているのである。

くこ(3)アマゾンのサイトで買ったから、自分のクレジットカードアカウントが登録される、というカスタマイズくらいでは驚かないが、3Gに勝手につながったのはのけぞった。ヨーロッパやアメリカにKindleを持っていっても、それぞれの現地で、勝手につながっている。

くこ(4)つまり、アマゾンが各国の3Gキャリアと契約して、たとえば私が一冊本を買うと、そのうちの何パーセントかが行くようになっているのだろう。イノベーションは、組み合わせで起こるということの好例である。

くこ(5)その後、MacBookやiPhone、iPad上でもkindleのアプリを入れた。そしたら、クラウドの凄まじさに改めて気付く。一つの機器で読むと、別の機器ではその続きから読める。自分が線を引いた場所も、当然機器間で共有されている。クラウドとは、つまりそういうこと。

くこ(6)クラウドの可能性はまだまだある。他の多くの人が「ここは大切だ」と線を引いた箇所が、「○○人がここに線を引きました」と表示される。そのことで、一種の集団知となる。自分が引いた線も、その集団知の海へと投げ込まれていく。

くこ(7)さまざまな機器上のkindleアプリからは、ワンクリックでアマゾン・ストアに行って本が買える。これは便利だな、と思っていたら、アップルが姑息なことをした。すべてiTunesを経由せよと、ボタンの設置を禁止したのである。

くこ(8)ところが、アマゾンの対応は早かった。「クラウド・リーダー」という新しいアプリを提供して、事実上アップルの意地悪を無効化したのである。「甘美なる復讐」という見出しが踊った。いずれにせよ、キンドルをめぐるクラウド環境は、水際立っていて、見事の一言。

くこ(9)日本の電子ブックがうんぬんとか、言う気力も起こらないあまりにも差が付きすぎていて、もう対抗するのが無駄だ。日本の社会自体が、ネット向きにできていない。大学入試や新卒一括採用。時代遅れの法体系。自分たちが決定的にイケてないと悟って、雲を見上げるのがいい。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。