2011年9月17日土曜日

「自分の欠点を乗りこえることで大リーグボールをあみ出す」ことについての連続ツイート

じだ(1)「これからは星飛雄馬になる」と宣言してしまったから、『巨人の星』をなつかしく振り返る気持ちになった。飛雄馬は一徹と猛訓練する。目標は巨人の星になり、大リーグに通用する選手になること。そのために、大リーグ養成ギブスをつけ続ける。

じだ(2)飛雄馬は、剛速球投手だった。しかし、体重が軽いという致命的な欠点があった。そのことに気付いた花形たちに打ち崩される。自分の存在自体を否定されたような奈落。飛雄馬は悩み、苦しみ、座禅をして救いを求める。

じだ(3)「球が軽い」という自分の特性=致命的欠点を逆に活かすというかたちでひらめいたのが、大リーグボール1号。相手のバットの動きを予測し、そこに当てて凡打に打ち取る。自分の弱点を長所とする、逆転の発想であった。

じだ(4)飛雄馬には、父一徹の残した呪縛があった。一徹が負傷を補おうとして編みだした「魔送球」。邪道だと巨人を追われた。大リーグボール一号が打ち崩され、ふたたびどん底に陥った飛雄馬を救ったのは、まさに、その邪道の魔送球であった。

じだ(5)縦に変化する魔送球が、砂を巻き込んで球を隠してしまう「消える魔球」。自分の父親を名門巨人軍から追い出したはずの呪いの球が、飛雄馬復活のきっかけとなった。完成した「大リーグボール2号」は、一大旋風を巻き起こす。

じだ(6)自分の欠点を直視し、受け入れ、乗りこえることで飛躍が生まれる。これが、作者の梶原一騎が一貫して追及したテーマであった。スポーツが「道」となる、日本独特の求道精神がそこにある。

じだ(7)余談だが、星飛雄馬の本当の父ちゃんは星一徹ではない。「えっ、父ちゃん、おいらの本当の父ちゃんは誰なんだい?」「飛雄馬よ、お前の、本当の父ちゃんはな。。。梶原。。一騎だ。」「それイッキ、イッキ、イッキ」というのが学生の時吉原が教えてくれた体育会系のジョークだ。

じだ(8)もう一つある。「今年も米がとれなかった。お代官さまは、それでも年貢をとりたててくる。生活は苦しい。もうこうなったら・・・百姓・・・一揆だ。」「それイッキ、イッキ、イッキ」。よい子はイッキをしてはいけません。

じだ(9)途中でフォースが乱れたが、自分の欠点を乗りこえて飛躍するというのは普遍的なテーマ。『巨人の星』はファンタジーだが、梶原一騎は人間の本質をとらえていた。くそくらえな日本を変えるためには、自分自身がまずは変貌することが必要だと、星飛雄馬になる今日この頃である。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。