2012年3月9日金曜日

根拠のない自信を持て。それを裏付ける努力をせよ

こそ(1)「根拠のない自信を持て」と私はしばしば言う。みんな、子どもの頃には根拠のない自信を持っている。初めてハイハイしたときに、「今日は調子がわるいから来週の日曜まで順延しよう」なんて思うか。子どもにとっては、すべてのことが「生涯で初めて」のこと。それに挑戦する気概を忘れるな。

こそ(2)誰でも最初は根拠のない自信を持っているのに、次第に忘れていく。あるいは、点数や偏差値といったくだらないもので人を決めつける社会によって、根拠のない自信をうばわれていく。だから、人生のときを積み重ねた人ほど、根拠のない自信を取り戻すのが大切なのである。

こそ(3)ここで肝心なのは、「根拠のない自信」には、「それを裏付ける努力」が伴わなければならないということである。しばしば、「茂木さん、オレ、将来ビッグになりますから、見ていてください!」という若者に出会う。そういうやつに限って、ビッグになった試しがない。なぜか。

こそ(4)「オレ、ビッグになりますから」と言う若者に限って、努力をしていない。本当にビッグになると信じているのならば、すさまじいまでの努力をしているはずだが、何もしていないし考えていない。つまりは、自分の夢を、本気では信じていないのである。

こそ(5)最近はネット・ベンチャーをやる、というともてると思っているやつが多くて、教室でとなりの女の子に「オレ、将来のフェイスブックつくっているんだ」なんて言ってる。「お前のモデルだと人力かかるけど、どうやってスケーラビリティ確保するんだ?」と聞くと、「あっ」なんて言っている。

こそ(6)誰でもすぐ気付くことにまだ思い至ってないということは、「将来のフェイスブックを作る」という夢を、本気では信じていないということである。そういうやつは、実は「根拠のない自信」を持っているとは言えない。「根拠のない自信」は、凄まじいまでの努力によって初めて実体化するのだ。

こそ(7)イチロー選手が大リーグに挑戦するとき、体力的に無理だとか、パワーが足りないとかいろいろなことを言う人がいた。しかし、イチローさんは根拠のない自信を持っていた。そして、それを裏付けるすさまじい努力をした。だからこそ、大リーグの歴史に残る偉大な記録を達成した。

こそ(8)シアトルのセイフィコフィールドを訪れたとき、球場にはイチロー選手専用のトレーニングマシンがあった。単に筋力を鍛えるだけでなく、一連の柔軟な身体運動を引き出す。そこまで工夫して、積み重ねる。根拠のない自信とは、凄まじいまでの努力の原資でしかない。

こそ(9)秀才は努力するが、天才は努力しなくてもできるというのは全くの間違い。天才は超人的な努力をする人で、秀才は中途半端な努力しかしない人である。そして、天才の超人的な努力を支えるのが、根拠のない自信に他ならない。若者よ、根拠のない自信を持て。それを裏付ける努力をせよ。