2011年11月7日月曜日

「日本が偶有性の新文明へ適応できない限り、没落が続くことは避けられない」ことについての連続ツイート

にぼ(1)人類の文明を今、変化させしめているのは「グローバリズム」と「インターネット」の二つの波である。両者に共通しているのは、「偶有性」。ローカルな結合だけでなく、長距離結合もあるネットワークの中で、容易に予測できない事態が頻発している。

にぼ(2)日本の変調は、偶有性への不適応である。日本は今や偶有性の新文明における「後進国」。よほどの覚悟を持って自分たちを見つめ、マインドセットを書き直さない限り、再浮上は覚束ない。没落は必定である。

にぼ(3)大学入試における「厳格なペーパーテスト」が「公正」だと思っている時点で、偶有性に不適応。人間の生育プロセス、能力は多様。それを、総合的 に判定して構成員を決定するアルゴリズムが、偶有性の新文明においては適応的。日本の大学入試は、もはや100年くらい古い。

にぼ(4)「記者クラブ」を維持する一つの理論付けは、「フリーランス」の記者にはさまざまな資質のものがいて、大マスコミほどの「クオリティ・コント ロール」ができないというものだろう。偶有性への不適応。さまざまな資質の人がいて、それでいい。石もあれば、玉もある。それが現実。

にぼ(5)日本の地上波テレビがネットに進出できないのも、「著作権」とか、「スポンサー」との関係を、従来通り杓子定規にとらえているから。これも、偶有性への不適応。形式的に齟齬を来すことを恐れるあまり、実質的な利益をとらえることができないでいる。

にぼ(6)役所の異常なまでの書類主義も、偶有性への不適応。ローカルな形式的齟齬を恐れるあまり、全体の最適化、効率化を図ることができないでいる。その結果、行政組織は愚鈍のかたまりになって、無駄な仕事で忙しがる、不思議なカフカ的世界が現出している。

にぼ(7)大学で教えている体系が完全に陳腐化しているため、ネットの偶有性に適応できる人材が枯渇している。そのため、単なるブツではなく、ウェブと連 動した「ものづくり2.0」で活躍する人材が枯渇。iPhoneのような画期的な商品が、日本から出なくなってしまった。

にぼ(8)日本の現在の変調は、以上に例を挙げたような、日本の従来の文明のあり方の「グローバル化」「インターネット」という偶有性の新文法への不適応 という一般現象として説明できるものであり、それだけ根が深い。このまま没落が長期化する可能性も、あながち否定できない。

にぼ(9)ウェブとの連動を考えずに済む「ものづくり」中心の時代には適応的だった国民性が、偶有性の新文明においては陳腐化し、むしろ邪魔になる。日本 の危機の本質はここにある。新卒一括採用や、不動産賃貸における「連帯保証人」など、偶有性への不適法症候群が、日本を後進国へと貶めた。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。