2011年11月23日水曜日

ベンチャーを起こすこと自体よりも、ブツをつくることが大切だと肝に銘じておこう

べぶ(1)昨日、波頭亮さんと対談していて、「これからの日本は明るい」と言った。新卒一括採用とか、くだらないことを続けている「本体」とは無関係に、 「オレたちは勝手にやるぜ」というやつらが増えてきているように手応えがあるからだ。就活をしない学生たちが、日本の希望である。

べぶ(2)起業する、というやつらも増えてきた。起業のコストは、インターネットなどの環境整備によって格段に下がっている。波頭さんも言っていたように、「一生懸命やれば、なんとか食っていける」くらいにはなっていると思う。

べぶ(3)ところで、起業する、という若者たちの意気は良いとして、考えておくべきことがある。一つは、対象の商品やサービスについて、徹底的に考えて作り込むこと。そのことについては、世間の誰よりも、自分が考え抜いているというくらいの情熱を持ってのぞむこと。

べぶ(4)案外うかつなやつも多くて、最近も、こんなウェブサイトを作った、とザッカーバーク気取りでいるから、聞くと、人力に頼っていて、スケーラビリ ティがない。「お前、それ、ユーザーが増えたら破綻するじゃん」というと、「あっ!」とか初めて気付いたような顔をしている。

べぶ(5)スケールアップできない労働集約的な仕事を「起業」と勘違いしているやつは多くて、それでは実際には便利屋になってしまっている。それはそれで一つの生き方だけど、ネットの特徴である不特定多数が利用するという設計が、そもそもできていないことも多い。

べぶ(6)起業したい、という意欲はいいし、おっちょこちょいで何かをやってしまうということは必ずしも悪いことではないけれども、せっかくやるんだったらもう少し考えろよと言いたくなるケースが多いのである。

べぶ(7)思うことがある。ジョブズとウォズニアックがアップルを創業した時には、何よりも「Apple I」という「ブツ」があった。当時としては画期的なパーソナル・コンピュータ。まだ未熟で、荒削りでも、人々が求める具体的な商品が、そこにはあった。

べぶ(8)「オレ、起業しますよ」とか、「ビッグになりますよ」とか夢を持つのはいいけれども、起業すること自体は実は難しくなくて、大切なのは、「ブ ツ」をつくること。だから、起業にこだわらずに、ふだんから 商品やサービスの「ものづくり」に没頭していた方が、実は成功に近い。

べぶ(9)多くの人が求める、魅力的な商品、サービスができたら、起業など簡単。お金も人も集められる。本当に難しいのは、起業すること自体ではなく、画期的な「ブツ」をつくることなのだと頭を整理しておこう。就活をしない君たちへの、ぼくからのはなむけの言葉です!

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。