2011年11月17日木曜日

(恐竜が)自ら恥じて変わることはあまり期待できないから、(ほ乳類が)別の道を探した方がきっと楽しい

みべ(1)Society for Neuroscience meetingの主役は、ポスター発表である。じっくりと議論の時間をとれるので、スライド・プレゼンテーションを避けて、敢えてポスターを選ぶ人が多 い。ぼくと田森佳秀の発表も、ポスター。いろいろ意見が聞けて、有意義だった。

みべ(2)ほっとして、ご飯を食べて、ホテルに帰ってきて、トイレに座ってiPadでWhat would Google do? の続きを読み始めた。ネット上で起業することが本当に少額の投資でできるようになり、ティーンエイジャーの起業が相次いでいるというアメリカの状 況。

みべ(3)起業のコストが極めて低くくなったために、ベンチャーキャピタルの役割が低下しているのだと著者は言う。なるほどなあと思って読み、iPadを閉じ、そうだスタバでラテ買って来よう、と外に出た。

みべ(4)ワシントンの日は、暮れようとしていた。薄暗がりの中を、スタバを通り過ぎて、ホワイトハウスまで行ってしまう。iPhoneのズーム機能に初めて気付いた。ナショナル・モールを通って帰ってくる時に、さっきトイレで読んでいたことについて思い返していた。

みべ(5)社会の中に新しい文明の波に乗れない恐竜がいたとする。恐竜は、日本にも、アメリカにも、どこにもいるだろう。その時、恐竜が、自らの非を恥じて、自己変革をして変身するということが、理想の話としてはともかく、現実に、どの程度期待できるだろうか?

みべ(6)よりあり得るのは、恐竜自らが変革するというよりは、恐竜の足元をうろちょろしているほ乳類が次の文明の担い手になるというシナリオだろう。実 際、ほ乳類が文明に指紋を残すためのコストは、What would Google do?の著者が書いているように、劇的に低くなっている。

みべ(7)恐竜たちに、「君たちはもう古い。考えを改めたまえ。大学入試や、新卒一括採用や、教科書検定や、意味のないことはやめたまえ」とメガホンで 言っても、どうも有効ではないようだ。それよりも、足元をちょこまか動き回るほ乳類になって、勝手にやった方がいいように思われる。

みべ(8)インターネットはもちろんチューリング・マシンの範疇だが、その計算可能な宇宙の中に、無限の可能性がある。一生あれこれと試み、遊んだとしても、尽くせぬくらいやることがあるんだから、恐竜にがなり立てるよりも、どうやらそっちの方が楽しそうだ。

みべ(9)それに、野生では、異種間の動物がとなりどうしで肌近く共存するという現象が案外見られるようだ。動物と動物の、種を超えた生きものとしての連帯。恐竜がドタドタしていて、ほ乳類がちょこまか動き回って、両者が、生きものとして連帯すれば、いい社会ができるさ。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。