2011年11月9日水曜日

「閉じるよりも開いた方がいいに決まっているが、覚悟がなければ出ていくことなどできない」ことについての連続ツイート

とか(1)TPPに関する議論で、「反対」している人の論には実は余り見るべきものがない。陰謀史観に近いものや、日本人の潜在能力を自分たちで過小評価 している人たちが多い。ツイッターでの意見表明でも、あまりものを考えずに短絡的に反応している人が多く、知的興奮がない。

とか(2)国を閉じるよりも開いた方がいいに決まっている。問題は、その時のスタンス。TPPの本質は、農業だけでなく、あらゆる分野が国際競争にさらさ れるということ。昨日ある方と話していたら、みなさんあまりおっしゃらないけど、土木分野にも入ってくると教えてくださった。

とか(3)TPP単純反対派の論が聞くに値しないのは、日本人を、一方的に「入って来られて」、「搾取される」側であるかのように描くからだろう。入って来るんだったら、同じように出ていけば良い。ところが、そのような議論をしている例が、ほとんど見あたらない。

とか(4)医療や、保険、その他のサービスの分野に外国勢が入ってくるというけれども、同じように自分たちも外国市場に出ていけばいいだけのことではない か。TPP、入るのと出るのが拮抗してちょうどバランスがとれる。反対派は、外に出るという発想がほとんどないように見える。

とか(5)ぼくが気の毒だと思うのは、農業の方で、土地に縛られるし、自然の生産力には限界があるから、外国産の農作物と単純競争させられたら、負けるかもしれない。その時に生産性を上げる道筋は、確かに一筋縄ではいかない。

とか(6)しかし、農業でさえ、付加価値を上げて対抗する道がないわけではない。「入ってくるのと出ていくことのバランス」という意味で言うと、入ってこられるだけ出ていく工夫をしなければならない。それが農業にだけ可視的に強制されてしまうのが、お気の毒だと思う。

とか(7)日本の生産性問題の本質は、ホワイトカラーにあると思っている。土地や自然の制約のある農業に比べて、サービスや情報などのホワイトカラーの生産性は、工夫すれば自分たちで勝手に上げられる。それをさぼっているんだから、こっちは入ってこられて当然である。

とか(8)膨大な書類のムダ仕事を自ら作って消費している役所や、国際化に適応できない大学や、ネット時代にそぐわないコンテンツ産業こそ、TPPの荒波にさらされて淘汰、進化すればいい。そうでないと、日本は救われない。

とか(9)TPP単純反対派の最大の愚鈍は、アメリカの戦略にやられるとばかり言い立てていることだろう。向こうに戦略があるならば、こっちにもある。入ってこられるだけ、出ていけばいい。そんなヴィジョンがないほど、日本のホワイトカラーは井の中の蛙で劣化している。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。