2011年12月6日火曜日

のびるやつ、のびないやつ

のの(1)才能とはなんだろうか。性格的要素も大きいと思う。のびる人と、のびない人がいる。それは、一つの態度である。のびない人は、自分自身の態度で、のびないのだということに気付かない。もったいない。それは、人生の一つの悲劇である。

のの(2)話していると、なんとはなしに、この人はのびるか、のびないかということがわかる。わかいやつでのびるのは、とにかく背伸びしているうやつであ る。好奇心に満ちて、自分がまだよくわからないことでも、世界のいろいろなことに届こうとしている。つま先立ちのやつはのびる。

のの(3)一方、のびないやつは、自分語りを延々と続けたりする。なにか問題点を指摘すると、防護的になるやつものびない。客観的にみて、こんな穴がある じゃないか、というときに、はっと考え込むようなやつは伸びる。「それはこうで・・」と即座に誤魔化そうとするやつはのびない。

のの(4)人のせいにするやつはのびない。「世間って、こうじゃないですか」としたり顔でいうやつは、まずのびない。したり顔は一般にのびない。世間の常識がどうであれ、あれ、そうでしたっけ、というような涼しい顔をしているやつは、ときどき驚くほどぐーんと伸びる。

のの(5)一般に、ノーガードなやつは伸びる。ボディブローを何発打ち込まれても、それでも無防備で平気で打たれている。猜疑心の強いやつ、がちがちに防御しているやつはのびない。むしろ、打つんなら打ってみろとばかり、パンチをぶんぶんふりまわしてくるやつはのびる。

のの(6)自分がいかにダメか、至らないかという認識を、くそう、と反撃へのバネにできるやつはのびる。一方、だから無駄なんだとぐずぐず潜っていくやつ は、のびない。潜ること自体を美学にするやつもいる。そこで花が咲くこともあるけれども、ただ泥沼になってしまうこともままある。

のの(7)他人の助けを安易に借りるやつはのびない。一方、他人の美質を素直に認め、抱擁するやつはのびる。一般に、自己顕示欲の強いやつは案外伸びな い。自分のことばかりで、他人が視野に入っていないからだ。クリエーターにはナルシストが多いが、それぞれの器で作品をつくる。

のの(8)共感の振れ幅が大きいやつはのびる。ぐーんと自分の感覚が広がって、しかるに自分の身体へと帰っていくことができるやつ。振れても、いっちゃっ たままで、自分に戻ってこれないと伸びない。ものを知らないやつは伸びない。もっとも、それに気付いたとき、超新星爆発するやつもいる。

のの(9)人生の目的は自己実現であろう。私たち一人ひとりの中に、のばされるべき可能性の核がある。自己弁護や、自己正当化、自己欺瞞、見栄、虚栄、そ んなものでじゃましてちゃもったいないよね。若い時は、ダメな 性質が極端にでがちなものだから、特に注意せねばならない。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。