2011年12月25日日曜日

公務員の方々は、仕事のやり方を変えたらどうですか?

こし(1)今日の朝日新聞の一面に、国の借金1000兆円というニュースが出ていた。今のところ、国債の金利が高騰するなどの事態にはなっていないが、いつ危機をむかえてもおかしくない懸念されるべき状況である。

こし(2)国家公務員、地方公務員をあわせた公務員の人件費の総額は、二十兆円台のようだ。パブリックセクターの仕事ぶりは、この方々にかかっている。も ともとは公のために尽くそうと高い志をもって公務員になられたのだろうが、その実際のありさまは、必ずしも理想的なものとは言い難いようだ。

こし(3)もちろん、私は霞ヶ関や県庁、市役所に二十四時間常駐してその仕事ぶりを観察したわけではないし、組織内部の様子もわかるわけではない。一方、フラクタル構造をしている宇宙と同じように、一部分に接すると、全体の様子がある程度わかる、ということもある。

こし(4)公務員の方と話していて感じることは、「クロック数」が遅いということである。仕事の進め方がぐずぐずしていて、余計なことばかりやっているように感じることがある。それだけでなく、余計なことを民間の人にも押しつけているという印象が否めない。

こし(5)先日も、こんなことがあった。ある会合に出席するのに、出張依頼書がどうの、交通費の計算がどうのとやっている。当日、「印鑑をいただきたい」と回ってきたが、私以外の出席者は、みな印鑑を持っていなくて、「後日郵送します」ということになった。

こし(6)役所関係の仕事をすると、余計な書類を書かされたり、飛行機の半券をよこせといわれたり、印鑑を押せとか言われたりするのは日常茶飯事。もう慣 れっこになっているが、そのようは書類をチェックしたり、ファイルしたりするのが仕事の人が大量にいるのだと考えると、ぞっとする。

こし(7)政府の審議会もムダの極致。何度か出席したが、出席者が5分くらいずつ話して、「ありがとうございました。次回の会合は・・です」と何の議論もない。文書は、結局官僚が書いている。その文書だって、何のために書いているのか、誰が読むのかわかったもんじゃない。

こし(8)もったいないと思う。一方、先日訪れた釜石での市役所の方々の働きぶりはすばらしかった。震災、津波という非常事態。管轄も権限もあったもん じゃない。それこそ、サッカー選手がピッチの上を全力で走り回るような、頭の下がる働きぶりだった。公務員は、本来そうあるべきなんだろう。

こし(9)公務員の方々は、みな、黒澤明の『生きる』を見たらどうか。国難とも言える時に、パブリック・セクターがやれることはたくさんあるはずだ。書類 主義、形式主義にこだわることができるのも、つまりは暇だからだろう。本当にやることがあったら、走り始めるはずだ。奮起を期待します。

※ ここに掲載している内容は茂木健一郎さん(@kenichiromogi)のTwitterからの転載です。